会長(現:理事長)就任のご挨拶

早稲田大学教授
菅野 重樹

 日本の自動化技術発展を支えてきた本協会の会長をお引き受けすることになり、重責に身の引き締まる思いでおります。

 長引く不況の設計者は工夫とアイデア中で、遠山前会長が着実に運営・展開されてきた協会を、引き続きさらに発展できるよう努力してゆきたいと思っております。会員の皆様のご協力を、よろしくお願いいたします。

 近年、多くの学会において、産業界と学会との乖離が指摘されています。学術後援会への企業の方々の参加者数は増加せず、一方、現状の自動化・ロボット化技術は、未だ1970年代の研究レベルに留まっています。ここ20年間に発表された多くの学術成果は学位取得にしか有用でなく、実用化にまでは至っていません。21世紀に日本がこの分野で世界をリードし続けるためには、産学官は意識を大きく変えなければならないでしょう。

 昨年度、通産省(現:経済産業省)が日本ロボット工業会に委託した「21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査」の報告書においても、産学官の役割が再検討され、産学官がいかに変わるべきかが具体的に提言されています。そこでは、産業界に対して、オープン化ポリシーに基づく製品の市場への供給の推進、小規模市場型製品への対応、人材流動化への参加、人材の再教育とソリューションビジネスへの展開などが指摘されています。

 これらはいずれも、本協会が積極的に遂行し得る課題です。しかも、単に一つの協会内での話ではありません。日本の自動化・ロボット化技術の将来がかかっています。まさに、本協会のリーダーシップが求められていると言っても過言ではないでしょう。今こそ、自動化推進協会の力を発揮しようではありませんか。