自動化こぼれ話(144)はっきり言うけどね、この設計は下手くそだ

山梨大学名誉教授 牧野 洋

 どうも私の言い方は柔らか過ぎて、自尊心の高い設計者達には理解されないようなので、言い方を換えることにしょう。

 はっきり言うけどね、この設計は下手くそだ。とても自動機を3年も設計している人の設計とは思えない。だいたい、2枚のアルミ板をL字形に突き合わせて、4ミリのボルトで止めるなんて、それで剛性が保証できると思うのかい? 箱形の構造を作るのに、6枚のアルミ板と15個のボルトを使っている。何でアルミ鋳物にしないの? せめて、アルミブロックから削り出して欲しいな。

 こういうのをマッチ箱構造と言うんだね。立方体で、一見剛 性がありそうだけど、斜めに押せばすぐに潰れる。振動をなくしたいと言っていたけれど、この振動の波形を見ると、まるっきり不規則で、どこから振動が出ているか分からないじゃないか。

 そうだよね、この構造を見れば、至るところ振動の原因になりそうだ。ガタ、たわみ、歪み、エトセトラ、エトセトラ。本当に生産速度毎分400個の機械を作りたいのだったら、もっとシンプルにしなきゃあね。ついでに、もっと素直になって欲しいな。

 「こういう設計は私は好きではない」と言っただろう?それは、「こういう設計は駄目だ」ということなんだよ。