自動化推進協会の40周年を迎えて

東洋大学 松元 明弘(自動化推進協会理事長)

自動化推進協会の前身の自動組立懇話会は1972年に誕生ということですので、今年2012年は40周年という記念すべき年になります。本会ホームページにその沿革が書いてありますが、40年という長期間にわたって本協会の活動を支えていただいた会員各位に対して、改めて敬意を表したいと思います。

さて、現在、自動化推進協会は、いろいろな変化の時期を迎えております。その理由は簡単に言いますと財政再建と世代交代です。昨年後半から常任理事の間でこの問題に対して精力的に議論検討を進めてきました。学術を追い求める学会とは異なる視点での活動を続けてきたことの重要性を改めて認識し、そういうユニークな活動を継続するためにどういう方法を取るべきかを検討しました。

まずすでに会報の前号(Vol.41.No1号)でお知らせ・お願いをしました通り、これまで40年間改訂していなかった年会費を今年度から値上げするという判断をいたしました。心苦しい限りではございますが、講座・TTAM・見学会・会報・ホームページを中心とした会員サービスを可能な限り堅持するために、苦渋の決断をいたしました。会員の皆様のご理解を改めてお願いする次第です。

次に、事務局の移転です。5月から移転しますので、この会報が皆様のお手元に届く頃にはすでに新事務所が本格稼働しています。場所は都内の飯田橋駅近くで、東京しごとセンターの目の前のビルの地下です。精密工学会の事務局も徒歩数分の場所にあります。ホームページの沿革によりますと、中野サンプラザに転居したのが2005年ということですから、6年半ほどいたことになります。中野サンプラザは便利な場所でありましたが、その分家賃が高いことが協会運営上支障をきたすようになりました。新事務所は交通の便利な場所でありながら比較的家賃が安いため移転を決めました。心機一転、新たなスタートを目指します。

同時に事務局体制が変わります。まだ完全に体制が決まっておりませんので現時点では詳細に示せませんが、次の総会までには協会の運営を支える事務局体制を整備し、引き続き財政的基盤の強化を目指します。

さて、組織固めが先行している感はありますが、本当の改革はこれからです。今後の自動化はいかにあるべきかを議論する場が必要でしょう。それは研究会であったり、勉強会であったりするでしょう。形はこれから整えるとして、そのゴールをどこに置くか、それを見定めなければなりません。今、「自動化」という単語でインターネット検索をすると、我々が想定する「自動化」以外に、制御工学関係、あるいはコンピュータにおける定型処理など、人間の操作や判断を介することなく自動的に処理される事柄が多く含まれていることがわかります。我々自動化推進協会の持っている無形の資産を活用しつつも、それを広げ、深め、他の分野と融合しながら、新たな自動化技術に向かう時期なのでしょう。