NPO設立

自動化推進協会 会長
早稲田大学教授
菅野 重樹

 協会にとって新たな一歩となる2005年となりました。本年もよろしくお願い申し上げます。  昨年の総会でご承認頂きました特定非営利活動法人化(NPO)は、その後の関係各位のご尽力により、2004年12月24日付で内閣府より承認されました。ご協力いただきました皆様にあらためて感謝申し上げます。

 産業用ロボットや工場の各種自動化技術の進展、経済性重視の大量生産が普及し始めた1970年代初頭、自動化技術の重要性を認識した学識経験者と技術者が集まり、自動組立懇話会が設立されました。その後、自動化推進協会に名称を変更し、研究開発者約180名、企業約70社が参加し、講座や見学会の開催など精力的に活動してきました。

 しかし1990年代のバブル崩壊により、残念ながら企業における自動化やメカトロニクスの研究開発意欲は著しく後退しました。さらに、安い人件費による低コスト化を背景に、中国、東南アジアから低価格の製品が入り込むようになり、日本を支える製造業の今後の展開方策が大きな問題となっています。このような状況における日本の産業界にとって肝要であることは、世界をリードする自動化技術を維持することである、と指摘されています。

 本年1月6日付けの日本経済新聞は、トヨタ自動車が熟練ロボットを全工程に導入し、従来のカイゼン活動と合わせて生産体制の再構築を行なうことを、トップ記事で報じました。 記事によれば、このロボット導入とは、2本の腕で複数の作業を同時にこなすロボットを機械加工やエンジン組立のみならず最終組立にいたる全工程に導入し、人間の手と同等以上の作業効率を確保しようという意欲的なものです。これを機会に自動化が再び大きく注目されることになるでしょう。

 ところで、この自動化技術は、企業、大学そして技術専門家達の連携により維持、発展されるものであり、工学的なノウハウ、センスが必要です。そのためには、企業の現場の技術担当者、技術士、開発寄りの大学の研究者などの間の情報交換や指導・教育が重要です。そして優れた自動化の技術者を育成し増やすためには、資格や認定を規定し付与することが効果的です。

 NPOとしての自動化推進協会は、これら情報交換と教育を柱としつつ、自動化に関する技術認定を新たに開始することで、将来に向けての自動化をバックアップしてゆきたいと考えております。技術認定は、すでに昨年末より試行を始め、システムとしての確立を急いでおります。 日本のものづくり技術の発展のために、新たな自動化推進協会の活動が始まろうとしています。会員諸氏のますますのご支援をお願い申し上げます。