技術委員会に参加しませんか

常任理事 技術委員会 委員長
浜谷 徹

自動化推進協会の前身は自動組立懇話会

 今回の自動化推進誌は32巻、つまり発刊から32年が経過したわけだ。会の前身は自動組立懇話会であった。すでに他界された谷口紀雄先生、そして現名誉会長の牧野 洋先生を中心に、当時の若手エンジニヤが集まり、自動供給とはどんな装置なのか、どうしたら組立を自動化できるのかを模索した。当時の協会誌を読み返してみると、何故このようなことが難解だったのだろうか、われながら幼稚であったと自問自答する点も多い。

 自動化の道を切り開かれてこられた先達たちの努力で、自動化技術は成熟するとともに、次世代技術への転換期にさしかかりつつある。当面する課題ははるかに高度化していること、また画像処理、情報処理、ソフトウエアを含めて、総合的な視点で検討しなければならなくなったこと、などへの対応が課せられている。功をなしたベテラン達による自動化基礎技術の集大成と高度化への対応という二面性が協会の活動に求められている。

 いっぽう推進協会分科会として柔軟物自動化研究会が7年前に発足し、異業種間の交流を積み重ねてきた。これは第一線の現場技術者が問題解決の糸口を議論する実践の場であり、隔月の研究会を消化している。なぜ継続できたかと言えば、異業種での問題解決手法の討議が大きなヒントになり、特徴のある企業同士の共同作業(コラボレーション)が不可欠ということを、会員の誰もが痛感しているからではないだろうか。

技術委員会発足と抱負

 自動化推進協会の活動は、年間スケジュールを踏破しながら、順調に経緯している。しかし逆の見方からすれば、マンネリ化症候群に陥ってしまったとも言えよう。有意義な活動を実践するには、原点に戻る時期ではなかろうか。理事会でも、異業種間で情報を交換しあう場を設けることが会の重要な役目であろうとの意見も多かった。技術委員会を発足させたゆえんである。

 技術委員会の活動として幾つかの抱負があり、それぞれワークグループを結成して、具体化する予定である。

(1)柔軟物自動化研究会。現会員18名を中心とし、北陸支部、関西支部との連携を深める。今年の6月には北陸支部と合同で、YKK黒部事業所見学と合宿による研究会を催した。

(2)技術士会を開設。技術士の資格を持つ会員の方々、そして著名な有識者も多い。得意な分野を整理して、国内外の産業に貢献できる窓口を開設すべく準備を進めている。

(3)外部団体との共同事業展開。周知のように、日刊工業新聞社主催の自動車部品生産システム展で、パネルディスカッションを共同開催した。今後も日刊工業新聞社をはじめ、各種外部団体との連携を深めたい。

(4)特別講演会設営。柔軟物自動化研究会で話題提供された課題の中で、公開できる課題を中心に、工場見学を含めて有意義な会を企画している。

(5)事業委員会と共同で自動化テキストを編集

(6)広報委員会と共同で、ホームページの技術コーナに活動内容を公開

(7)技術質問窓口。加工と組立てに関わる技術的な質問を寄せられることもあり、公開できるものは機関誌、「自動化推進」に掲載している。質問が多岐にわたるので、有識者と連絡をとりながら、その都度、回答したいと思う。 などである。理事のバックアップもあり、自動化推進協会の発展に寄与できるよう努めていきたい。

 また企画倒れにならないためには、とりわけ会員の皆様が技術委員会に参画、そして活動されることが望ましく、ご参加を事務局にご表明頂ければ幸いである。

自動化のトレンドを見据えて

 小生は自動化設備の製造会社に所属しており、構造改革が急速に進む渦中にいる。勝ち組みとなる産業分野は何か。そして勝つための自動化(ユーザニーズ)とは。そして設備メーカが売りたいもの(ウォント)との間にギャップがあり、これをどう埋めるかに苦労している。

 汎用的な自動化手法がもてはやされる時代は過ぎ、個々のユーザに最適な特別解が求められている。効率よりも質を重視する自動化が求められている気配も感じられる。現在の自動化ニーズを把握し、将来を予測しておくことが自動化推進協会、とりわけ技術委員会に課せられた課題であろう。