自動化こぼれ話(136)パレタイジング

山梨大学名誉教授 牧野 洋

ロボット関係の用語に「パレタイジング」というのがある。「パレタイジングというのは何ですか?」と、ある人に訊かれた。

「パレット(pallet)というのは藁のマットのことで、この上に布団や毛布を敷いて寝る。つまりパレットは一番下の台である。これから意味が転じて、ダンボールの箱などを積む木製の枠のことをパレットというようになった。この枠には窓が空いており、そこにフォークリフトのフォークを差し込んで全体を持ち上げる。

パレタイジングというのは、このパレットの上にダンボールの箱などを積み上げていく作業のことであり、デパレタイジングはその逆にパレットから荷物を順次運び降ろす作業のことである。このような作業に適するように設計され たロボットを「パレタイジング・ロボット」と言っている。つまり荷物の上げ下ろし作業専門のロボットである。

ところで、パレタイジングという言葉は、ロボットの制御プログラムを作る人間にとっては特別の意味を持っている。例えば20個のダンボール箱を縦横に並べて積む時、もしこれをティーチング・プレイバック方式のロボットで行なうとすれば、1個あたり4点のティーチングを行なうとして80回もの位置の教示を行なわなければならない。しかし、箱は規則的に積まれている筈だから、適当な計算式を作っておけば、全体で4点ぐらいの教示ですむ筈である。このようなソフトを「パレタイジング・ソフト」と言っている。1点から多点への搬送、その逆の多点から1点への搬送を頻繁に行なう組立用ロボットなどにおいては、なくてはならないソフトである。