終生の伴侶 自動化技術
飯田技術士事務所 所長
飯田 詢
想い出すと
早いもので学校を卒業し、自動機の設計に携わって50年近くになる。学生時代、自作の送受信器でハム(JA1AUV)を楽しみ、電気を趣味とし機械を専攻しました。就職は、電気制御を必要とする自動選別機を作るベンチャー企業を選びました。入社2年目で、1mmの範囲で12分類する半導体ペレット自動選別機(自動化推進に記載)の設計を担当し、完成させました。この仕事の縁で、産業用自動機械メーカに転職しました。お陰で管球、電子、家電、原子力から自動車、薬品、写真、食品、印刷と幅広い分野の自動化に参加させて貰いました。そして点から線(システム)の自動化に進みました。最大のライバルは“パートのおばさん”でした。
積み残している課題
生産技術的に見ると、1400本/分のタバコ巻き機を頂点とする少品種多量生産技術は一応の成果を上げられたと思ってます。残された課題は、それに劣らない生産性を有する多品種変量生産技術(FMS)と考えてます。FMSに残されている課題は種々ありますが、特に気になっている課題を2つ上げます。
1. 部品供給 現在の部品供給はほとんど専用で、特に大、中型部品の供給は、ストレージの問題を含めて汎用性のある部品供給は目安なしの状態に見える。
2. 治具 加工/組立ともに汎用性が低く、多品種対応を、部品に位置情報を入れる設変や、CAD情報の利用で治具レス化を計っている分野もあるが前途多難。
そこで、ある学会で若い人達に、現在のロボットの性能限界を推定して、FMS無人ロボットラインを組むには、どうすれば良いかの研究を提案したところ、飯田さんが座長なら参加しますとの返事なので、趣旨が違うので止めました。出来ることはやるが、出来ないことは避けるという傾向が見られます。
見直している課題
コンピュータも8bitからの付き合いで、機能が上がり高級言語が使え、他人が組んだソフトが理解出来るようになり隔世の感がある。それに伴い、機能満載でユーザが使いこなせない感もある。
先日、中小企業の社長が最新鋭の機械を前にして、『このような高機能な機械は我々の知識では使いこなせないし高価である。一方、我々には知識はないが知恵はある。我々の知恵を生かせる機械が欲しい。』この一言に参りました。この社長に言わせれば、このレベルのノウハウは、OJTで普通6ヶ月位で習得が出来るそうです。固定されたお仕着せのノウハウでなく、日進月歩する自前のノウハウを生かせるソフトが欲しいとのことです。このニーズへの対応は、従来の姿勢を180度の変換が必要です。
自動化技術は3000年の歴史があります。古希を迎えた今、次世代に何を残したか、また、何を残せるかを自問自答しています。
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