積極的にプロジェクトを始めましょう

自動化推進協会 会長
早稲田大学理工学部機械工学科 教授
菅野 重樹

 鉄腕アトム誕生の年である2003年になりました。本年もよろしくお願いいたします。  昨年、自動化推進協会は30周年を迎え、さまざまな企画立案と協会の新しい事業運営の方法策定に力を注ぎました。対外的には「モノづくりワールド2002東京」においてFA&コンポーネンツフェアを日刊工業新聞社と共催、30周年の特別講演会を開催いたしました。ゲストスピーカーの方々には、中国と日本の関係、今後の製造業の発展見通しなど、まさに時宜を得たご講演を頂き、きわめて多数の方にご来場頂きました。協会内では、会員サービスの在り方について多角的に検討を行ない、Webや会報の充実など、諸サービスの向上方法を検討いたしました。

 これを受け、既に会報では新企画がスタートしています。本年は特に、Webを通した会員サービスおよび協のPRが積極的に行なえるよう、Webの全面的なリニューアル作業にとりかかります。また、若手の開発者や研究者の方々が活発に協会運営に携われるよう、春の総会から新しい運営体制へ移行することを検討しています。

 ところで、上記の講演会で私は、新しい自動化技術やロボット技術の分野において日本がさらなる発展をするための方策について、日本ロボット工業会での検討結果を基にご紹介しました。その骨子は、メカトロニクス、ロボット、ITを統合したRT(Robot Technology)という新概念の基で、誰にでも使える形で供給される(オープン化された)さまざまなコンポーネントの開発、中小規模のニーズ発掘と、そのニーズに対応できるシステムをコンポーネントのインテグレーションにより実現できるシステムインテグレータ・コーディネータの育成が必要であるというものです。私はこの方策が、本協会の多くの会員企業に参考になるものだと考えています。

 そして本年、これを実行するための予算が組まれ、経済産業省・中小企業庁による「中小製造業の戦略的基盤技術開発プロジェクト」として、上記のRTと金型の分野を対象に4月に公募が行なわれることになりました。これは、アクチュエータやセンサなどのコンポーネント技術を持っている中小企業が、新しいシステムを組みたいと考えているユーザ企業、そして研究支援が可能な大学などの研究所と組み、RTシステムを構成するコンポーネントを開発するためのプロジェクトです。3月には詳細が発表される予定です。

 2003年、自動化推進協会もその体制を強固なものとするために、積極的に活動を展開してゆきたいと考えています。会員企業におかれましても上記のような予算枠組みなどをご活用頂き、さらなる発展をされることを祈念いたします。